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「ある喫煙常習者における喫煙の重要性の考察」 冷戸 有子 目的近年、未成年の喫煙常習者の増加が社会問題の一つとして認識されつつある。彼等は自分の肺を灰で黒く染めながらもまだ、喫煙を続けている。 ここでは、彼等とタバコの関係を明らかにし、なおかつ、何故、喫煙せねばならないかという永遠の謎の解明を目的とする。 方法 被験者は、とある16歳の高校生男子である。 今回の実験は、被験者の所持するタバコ(ハイライト)を、被験者の部屋から取り除き、ニコチン切れを起こさせるものである。 そして、その後の彼の行動を観察する。この場合、被験者の行動や言動などは全て記録していく。実験は以下のように行われた。 午後十時四十三分 「タバコが切れた……」 この一言から観察は始められた。この時、被験者、椎家佐和斗はその自室で観察者である私と談笑していた。 被験者はそれとなく周囲にタバコがないか探し始める。 なお、被験者が外出している間に彼の部屋から、ハイライト2カートンとわかば3箱を押収してあり、私が保管している。押収物は実験終了後に被験者にきちんと返却する……つもりである。 「それじゃ、私は帰らせてもらうよ」 私は素の状態で被験者を観察するため、事前に設置しておいた隠しカメラを見に被験者の部屋からでることにした。ちなみに被験者と私は親戚として同じ家で生活している。 「あぁ、それより有子さぁ、俺のタバコ知らねぇ? なんか買っといたのが見当たらないんだけど」 有子とは、私の名前である。 「知らない」 私は、そういって被験者の部屋を出て、私の自室へ戻った。もちろん、被験者のタバコはここにある。 その後、彼は十分ほど部屋中を探し回ったあげく、財布を手にすると、外出する用意を整え、その部屋を出た。 以下の会話はその後、部屋を出た被験者に偶然を装って、玄関で話しかけたときのものである。 「出かけるの?」 「あぁ、タバコを買いに」 さも当然のように被験者は言う。私の登場の不自然さには気づいていないらしい。少し安心。 「そう、なら、痴漢に気をつけるといい。最近、多いらしいよ」 「男の俺に言うセリフか、それは?」 そう言うと彼はそのまま玄関を出る。私は観察のために尾行を開始する。現在、午後十時五十八分。この家から一番近い自販機まで徒歩五分。観察は続く。 <<前へ 次へ>> |