魔天聖地


魔天聖地  天魔(てんま)戦記(サーガ) EP4
―第一話 悪魔の騎士―

――かつて、天地を裂いた戦いがあった。
軍需産業複合企業体、カイン。
日本から北海道、及び北方領土を買い取り、国家として独立しようとした集団。
当然、日本側は反対。日本は、初めての紛争を経験する。
異常な科学力を基盤に、荒唐無稽な人型兵器を作り出すカイン。
日本軍、自衛体側も鹵獲した敵機の技術を流用し、独自の機動兵器を作成、戦線に投入するがその戦果は乏しい。
他国はカインの裏にある、常軌を逸した科学力とエネルギー資源、経済力を警戒し、傍観者を演じ続ける。
やがて、カインの背後に北海道地下の、謎の古代遺跡の存在が発覚。彼らの異常な技術は、その古代文明の遺物からの流用である事が解る。そして日本側も、傍観を決め込んでいた他国も、その遺跡へと喰らいつく。
激しい戦闘の末、遺跡の最深部に遺されていた二体の人型兵器を手中に収めたのは、日本とカインだった。両国は一体ずつ、その兵器を保有する事になった。
その二機は非常に似ていながら、決定的に違う存在だった。
現在の科学常識では不可解な動力機関、異常なまでの出力、特化した戦闘能力、そして背中に生えた二枚の翼。これだけの共通点を持ちながら、絶対に相似ではない二体の兵器。
日本軍が手に入れた機体には、羽毛の翼が生えていた。
カインが手中に収めた機体には、皮膜の翼が生えていた。
故に日本軍が手中に収めたそれは「天使」と呼ばれ、
故にカインが手に入れたそれは「悪魔」と呼ばれたのだ。

究極兵器も投入され、ますます激化する戦争。
天使と悪魔を解析した両軍の兵器は、飛躍的に進歩、進化し、瞬く間に日本列島は世界最強の戦力を保持することになった。
異常な戦力を保有する、カインと日本。
やがて、戦争に介入した他国が、いがみ合う二つの国に敗北し、吸収され、この地球からは二つの国しか存在しなくなった頃。
決着は唐突に訪れた。
天使と悪魔。
二つの兵器から始まったこの戦争は、二つの兵器の消失と共に終結した。
暴走し、自爆寸前の天使を、最終形態まで変形した悪魔が宇宙の彼方へ連れ去り、共に宇宙の塵となった。
戦争の終結により、統合された国々は再び分裂する。
だが、一度繋がった結束は簡単に離れる事はなく、世界連邦という組織を生み出すに至った。
そして世界は戦前と同じ平穏と静寂を取り戻した――

――かに見えた。
だが、誰が知ろうか。
かつて、天使と悪魔が共に果てた宇宙空間。
はるか遠く離れた地球に、太陽と同じほどの輝きを届けた爆発の起きた場所。その宙域に、次元の切れ目ができたことなど。
そしてその挟間より現れた、数百の宇宙船の艦隊のことなど、誰一人として知る由はなかった。
――再び、地球に戦争の火が降り注ぐまでは。
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